暦の上ではもう秋なのですが、まだまだ暑さの残る9月、皆さまいかがおすごしでしょうか。
先日、バスに乗りながら流れてゆく景色をぼんやりと眺めていると、ふんわりとやさしく、けれど同時になにかとても強い意志を秘めたような桃色の光が、目に飛び込んできました。
「あれは・・・芙蓉の花だ!」
目指す場所は、まだ先。
けれど気がつくと、私の指はまったく迷わずに、ぽんと停車ボタンを押していました。
走り過ぎるバスに背を向け、少しだけ道を引き返した後、私はゆっくりと花の傍へと近づきました。
夏の間ずっと、芙蓉に会いたいと願いながらもタイミングを逃し続けていたのですが、9月に入ってようやく、桃色の儚く透明な輝きに出会うことができたこと。
それが、とてもとても、嬉しくて。
長い時間、私は頭上に誇らしげに咲く芙蓉の花を見上げながら、そっと歩道の片隅に佇んでいました。
静かに花と対話した後、目的地に向かって歩き出した私は、とても穏やかなやさしい気持ちになっていました。
そしてはっきりと、自分自身の中に、しっかりとした軸のようなものが立っていることに気づきました。
アオイ科の代表的な花たちに見られるような、あの独特の透けるような美しい花びらの奥には、金色のゆるぎない意志が、隠れていたのです。
長い間、私の中に潜むその尊い輝きを隠していた「悲しみのベール」は、この時、私のオーラからまるで溶けるように消えてゆきました。
ファー・イースト・フラワーエッセンス「フヨウ」は、私たちの歩く道ばたにいつもさりげなく咲いている、芙蓉の花から創られています。
私たちが、エッセンスの原料となっている植物たちと、ハートをひらいて繋がり、書籍を紐解いたり観察を続けたりして、より深く知ろうと思う時。
そして実際に、フラワーエッセンスのボトルを通して、植物の持つ光を最大限に感じ取ろうとして、自然界へと意識を向け続けている時。
「エッセンスの植物」たちは、時々日常の中で、人と植物とをつなぐミラクルな時間を、魔法のよう授けてくれることがあります。
その体験は大抵さりげなく、そして静かなので、道ゆく人にとってその時の私は、「道ばたに咲く花を見上げて立っている人」として、目に映っていたのでしょう。
けれども、もうひとつの世界では、芙蓉の花を見上げていた私は、バスから降りる前の私を脱ぎ捨てた私であり、芙蓉の花びらの奥の金色の世界へと足を踏み入れるという変容を体験して、少しだけ違う存在となり、確かに「道ばたに咲く花を見上げて立っている人」でありながらも、「道ばたに咲く花によって変容し、誇らしく胸を広げてに立っている人」であったのでした。
私たちに惜しげなく、その愛を贈ってくれている、尊く愛おしい植物たち。
「フラワーエッセンスの植物」として、今私たちに寄り添ってくれているすべての花々への感謝を、ただ静かに感じながら。
さて9月は、特集第三弾として「エッセンスの植物を識る~お茶の木・前編」を、そして10月には「エッセンスの植物を感じる~お茶の木・後編」を公開いたします。
今回は、薬用植物として長く人に寄り添い、惜しげなくギフトを授けてくれている「茶ノ木」をピックアップしてみました。
植物好きなComing Home編集部のふたりで、この秋に咲く白い花を、ちょっとだけ深堀りしてみたいなと思います。
ぜひ、楽しみにお待ちいただけたら嬉しいです。
芙蓉と茶ノ木が、ともにその中心を金色に煌めかせながら咲いている、秋の日に。
Coming Home編集部 浅野 典子
『Coming Home』第4号 特集「フラワーエッセンスと薬用植物」
「エッセンスの植物を識る~お茶ノ木・前編」は、 こちら からご覧ください。
まだまだ残暑の続く今日この頃、どうぞご自愛くださいね。