3月。
灰色のアスファルトの隙間から、地上の太陽が顔を覗かせています。
金色の獅子、ダンデライオン。
気高い獣をその名に宿しながら、百獣の王のイメージとはうらはらに、春に蒲公英が咲く光景は、あまりにもありふれています。
その道端の雄々しい花の存在に、気づく人は少なく、春の街を急ぎ足で通り抜ける私たちの目には、留まらないことも良くあるのです。
けれどもこの地上に咲く太陽の花には、葉にも根にも花にも、すべて優れた薬効があり、とても素晴らしい薬用植物のひとつとして知られています。
その肝臓への作用は良く知られていますが、実はフラワーエッセンスとしても、現代を生きる私たちの疲れた肉体の緊張を解き、ストレスを解放するために使われてるのです。
(からだにふれて、そっとやさしく宥める。
手をあてて、包み込むようにいたわる。
とくとくと生命をきざむ、そのあたたかさを感じとる。)
私たちは、天から授かった美しい肉体を、こんな気持ちで大切に、感謝をこめて触れる必要があることを、きっと、忘れかけているのでしょう。
時間に追われ、灰色のコンクリートの壁に囲まれて暮らす私たちは、「自らの肉体への愛」を忘却して、今(いま)を生きています。
まるで「アスファルトの隙間にひらく太陽の花」を見逃すように、「心臓という太陽を包み込んだ尊い肉体」の、その真の価値を、容易に見逃してしまうのです。
もしかすると、私たちが自らの肉体に対して感じていることと、雑草と呼ばれ愛でられることのない蒲公英とは、その扱われ方が、少し似ているかもしれません。
3月に道端に咲く、素朴な金色の花、ダンデライオン。
その野花に宿るいのちも、自らの体に宿るいのちも、どちらも愛おしく尊いものだということを、そっと、身近な薬用植物が教えてくれていています。
そんなことを感じながら、あたたかな日差しの中、公園のベンチに座って、金色の獅子のエッセンスを飲んでみました。
天から地上へと降り注ぐ、「黄金の恵み」。
その光は、心地よいリズミカルな音を鳴らしながら、とくとくと流れてゆき、体の隅々まで、あたたかく照らしてゆくのでした。
さて今月は、特集第二弾として「世界を旅する薬草のボトルたち~天界からの緑の贈り物~」を公開いたします。
世界のさまざまな土地の薬草から作られた、私たちの心と体と魂を癒すフラワーエッセンスのボトルを全20本、順次ご紹介してゆきますので、皆さまどうぞ、もうしばらくお待ちくださいね。
野に咲く金色の獅子が、内なる太陽を輝かせる、力強い春の日に。
Coming Home編集部 浅野典子